入選 藤巻美音
〇ついついとデートの前のお化粧はチークつけすぎおてもやん顔
(講評)普段はほとんどノーメイクの作者だが、デートの前には気合を入れて化粧に熱中する。何ともユーモアが漂う一首である。
入選 棚橋千優
〇照れ笑う18歳の女の子重い障害感じさせない
(講評)重症心身障害児施設に実習に行った作者が、同じ年頃の少女の担当についた。その時に、障がいとはどういうことなのかを考えた。糸賀一雄の『この子らを世の光に』のフレーズが思い出される一首である。
入選 吉田真由美
〇車椅子押しなれなくて蛇行するそれでも礼を言われた初日
(講評)初めての介護実習で、一生懸命に利用者が乗った車椅子を押した作者。さぞ利用者は心もとなかったであろう。しかし、学生に礼を言った。作者はこの体験を一生忘れないことだろう。
入選 石川順一
〇雑草に混じるコスモス半円に折れ曲がりつつ先端の揺れ
(講評)作者の穏やかな観察眼が素晴らしい。
以上、選評 土永典明