2012年11月1日木曜日

平成24年11月

入選    藤巻美音

〇ついついとデートの前のお化粧はチークつけすぎおてもやん顔

(講評)普段はほとんどノーメイクの作者だが、デートの前には気合を入れて化粧に熱中する。何ともユーモアが漂う一首である。

入選    棚橋千優

〇照れ笑う18歳の女の子重い障害感じさせない

(講評)重症心身障害児施設に実習に行った作者が、同じ年頃の少女の担当についた。その時に、障がいとはどういうことなのかを考えた。糸賀一雄の『この子らを世の光に』のフレーズが思い出される一首である。

入選    吉田真由美

〇車椅子押しなれなくて蛇行するそれでも礼を言われた初日

(講評)初めての介護実習で、一生懸命に利用者が乗った車椅子を押した作者。さぞ利用者は心もとなかったであろう。しかし、学生に礼を言った。作者はこの体験を一生忘れないことだろう。

入選    石川順一

 〇雑草に混じるコスモス半円に折れ曲がりつつ先端の揺れ

(講評)作者の穏やかな観察眼が素晴らしい。


以上、選評   土永典明