2008年5月3日土曜日

平成20年 5月

入選   堀川恵理奈

〇君の頬触れるこの手が離れてくさよなら言わずぬくもり残す

(講評)上句では、「君」との別れに際して、哀しみの涙を抑え隠すしおらしさが出ている。五句の「ぬくもり残す」に作者の心情がこもっている。

入選   佐藤裕衣

〇帰り道空を見上げてふと思うあなたもこの空見てますように

(講評)作者のピュアな気持ちが素直に出ていて、すっと胸に入ってくる。さまざまな思いを託して、空を見つめる作者のやさしな視線を感じる。

佳作   小林綾子   

〇実習は同じ言葉の繰り返し緊張している自分に気づく

(講評)上句はまさに多くの実習生の実感であろう。それを受ける下句の作者の真剣な態度が伝わってくる。2句を具体的な言葉でもってくるほうがわかりやすいと考える。

佳作   布施由里香

〇優しい手いつも挨拶した後に握ってくれる肌のぬくもり

(講評)ふと触れられた利用者(高齢者)の手のぬくもり。作者が利用者との信頼関係の構築を感じた瞬間であった。バーバル(言語)コミュニケーションは、伝えたい内容と言葉にずれが生じ、正確性に欠けることがある。作者が体験したノンバーバル(非言語)コミュニケーションの場合、情報の精度が高く言葉には表れにくい隠れたメッセージが伝わりやすい。

以上、選評  土永典明