2012年9月3日月曜日

平成24年 9月

入選   斎藤夏実

〇「ありがとう」素直に言えないでも感謝姉が作る私の弁当

(講評)姉が作る愛情のいっぱい詰まった弁当から、様々な物語が紡ぎ出される。

入選   本間滉大

〇誕生日私二十歳に犬一歳年は違えどもう同い年

(講評)犬の一歳は人間で例えると二十歳になるそうで、そう思うと作者と犬は同い年ということになる。作者の人柄がそこはかとなく匂ってくる。

入選   羽田美咲

〇父の日にビールグラスをプレゼントにやけた口を隠せてないよ

(講評)作者が父の日にプレゼントをあげたら、嬉しくない振りをした父親。しかし、口元は緩んでいた。

入選   本間美知子

〇家帰る車椅子から立ち上がり杖振りかざすも家族は来ない

(講評)扉を挟んでの家族のドラマが窺え、後半のまとめ方もうまい。


以上、選評    土永典明 

2012年8月1日水曜日

平成24年 8月

入選   石津愛子

〇ドライブし車をぶつけ涙顔父は怒らず「怪我はないのか」

(講評)親の新車を借りドライブした作者は、誤って車をぶつけ後部の窓ガラスは全部割れ、ボディもへこんでしまった。家へ帰り父親にそのことを説明すると、「よくあることだよ。それより、怪我はなかったか」と作者を思いやってくれた。親の懐の深さと優しさに涙した作者であった。

入選   井上莉紗

〇ハムスター回し車を使わずに食っちゃ寝ばかりコロコロ太る

(講評)最近、ハムスターを飼った作者。よく観察すると回し車を使っていない。食べて寝る生活が日常になり、太ってきたようだ。

入選   佐藤直樹

〇春風の桜舞い散る花びらはユラリユラリと地に寄り添いぬ

(講評)少しの風で花びらが宙に舞いながら着地し、そこには桜の花びらの絨毯ができていた。桜が風によって落ちる様子を、作者はフォットジェニックに表現した。

入選   本間美知子

〇百歳の誕生日会祝う席「誰のことだね」二十歳と笑う

(講評)認知症により、失いたくない記憶を無くしてしまうのは何と悲しいことであろう。しかし時折、はっとするような正常な会話の時がある。そして、今を生きているその目は、青く澄み渡っているのである。作者のユーモアにより、新鮮な叙情や場面の幅がぐっと広がった。

以上、選評   土永典明

2012年7月1日日曜日

平成24年 7月

入選     石津愛子

〇勘違い孫だと思って何回も抱きしめられた三週間

(講評)利用者の孫と同じ名前であった作者。胸に貼り付けた名前を見るたびに、認知症の利用者は作者を孫だと思い喜んでくれた。

入選     亀山沙知

〇頭撫で抱きしめてくれた利用者を「おばあちゃん!」と呼びたくなった

(講評)作者の実家の祖母と同じ年齢の利用者がいて、作者が声を掛けるといつも頭を撫でて抱きしめてくれた。それが嬉しかった。

入選     塚田沙弥

〇たくさんの実習生がいる中で覚えてくれた私の名前

(講評)初日に関わった利用者が、二日目にはもう作者の名前を覚えて呼んでくれた。それが嬉しかった。


入選     石川順一

〇ミステリー劇場同時に二本観る音とセリフが入り乱れ来て

(講評)テレビのドラマを二本同時に観ると、確かに思考力も分散される。面白い日常を歌にした。


以上、選評     土永典明

2012年6月4日月曜日

平成24年 6月

佳作    米田萌

〇「頑張れよ」大きな声援ブイサイン頑固なあなたと通った瞬間

(講評)実習で担当した認知症を有する利用者が、他の利用者と食事をしていた時に大きな声で作者の名前を呼んだ。少し距離があった利用者と心が近くなった瞬間であった。

佳作    内田光紀

〇五日間実習終えて「あいたた!」笑顔を思いすぐ傷癒える

(講評)実習が終わってから腰が痛くなった作者。しかし、利用者の笑顔を思い出したら痛いことも忘れてしまった。

佳作    石川順一

〇エクレアとシュークリームを食べし後コーヒー飲めばリフレッシュする

(講評)カタカナの響きをうまく使い、なかなか愉快である。


以上、選評   土永典明

2012年5月2日水曜日

平成24年 5月

入選    相田恵里

〇お味噌汁作ってみたら物足りず改めて知るお袋の味

(講評)いつも家では当たり前のように食べていた味噌汁であるが、一人暮らしをして自分で作ってみると何か物足りなさを感じた。今まで家族のために毎日料理を作っていた母の経験が、現在の味付けになっているんだなと、作者が感じた瞬間であった。

佳作    小林明日香
〇「ありがとう」親の前では言えないが心の中でいつも感謝

(講評)一人暮らしを始めて、毎月の仕送りや励ましのメール、電話などが来た時には心の中で両親に感謝している作者である。

佳作    渡辺真優

〇ダイエット目標決めた明日から一週間後またリバウンド

(講評)いざダイエットを始めると、ついつい誘惑に負けてしまった作者である。


以上、選評   土永典明

2012年3月29日木曜日

平成24年 4月

佳作    齋藤加奈

〇「また来てね」言われて嬉しいその言葉やりきったんだ三週間

(講評)実習の最終日に利用者に「また来てね」と言われ、達成感と寂しさとで胸がいっぱいになった作者であった。

佳作    品田麻衣

〇実習中毎日必ず自己紹介その都度言われる「いい名前だね」

(講評)毎日話しをしていた利用者に、「誰さんだっけ」と名前を聞かれた作者。その度に毎回必ず、「いい名前だね」と言ってもらい、嬉しい気分になった。


以上、選評    土永典明

2012年3月2日金曜日

平成24年 3月

佳作   藤村なな

〇寄り添って手を握りあい笑いあう会話がなくても繋がっている

(講評)失語症の利用者とのコミュニケーションで悩んでいた作者。職員のアドバイスにより、非言語的コミュニケーションにたどり着いた。

佳作   井上馨子

〇利用者の笑う顔見て思い出す私の好きな祖父祖母の顔

(講評)利用者と話していると、「まるで、自分の孫のようだ」と笑って答えてくれた。その時、いつも遊びに行く祖父母の顔が浮かんだ作者であった。

佳作   石井玲衣名

〇たくさんの笑顔をもらい癒されて優しい言葉にこらえた涙

(講評)作者が利用者から、たくさんの温かい言葉をもらって、嬉しくて涙をこらえた実習の日々。


以上、選評   土永典明