2013年3月4日月曜日

平成25年 3月

入選    苅部 夏海

 〇相性はよくないけれど技術では尊敬できる指導職員

(講評) 相性が合わなくても気にする必要はないのです。どこか相手の良さを見つけることで、人間関係を紡いでいけるものです。

入選    和田 あかり

 〇「悪いね」と介護の度に涙するあなたの為に優しい介護

(講評)実習時の排泄介助や移乗の度に、「いつもお世話ばかりかけるね」と両手を合わせる利用者がいた。作者は利用者が、そのような気づかいをしない介護を心がけたいと感じた。

入選    石川 順一

 〇デコポンを友とし風呂に長く居る我は眠りに入る前なり

(講評)人間の実相も、ひと皮剝けばこのデコポンとなんら変わることなき姿なのかも知れない。その匂いは心の中に染みとおる。


移乗、選評    土永典明

2013年2月14日木曜日

平成25年 2月

入選   相田恵里

 〇秋の空下校時会えた夕焼けの寒くて暑い日々思い出す

(講評)描写の奥にある作者の感慨がにじみ出ている。

入選   苅部夏海

 〇「悪いわね」いつもそう言う利用者さん拝む両手をそっと握る

(講評)作者の思いやりのにじむ、静かなリズムをもつ作品である。

入選   羽田美咲

〇うちの猫寒いところが嫌いだと布団とコタツ行ったり来たり

(講評)飼い猫への思いの深さが伝わる一首である。


以上、選評   土永典明


2013年1月14日月曜日

平成25年 1月

入選    塚田沙弥

〇実習中どんなに朝が早くても米研ぐ母に支えられてる

(講評)実習期間で、いつもより起床が早くなっても、母は何も言わず台所に立って弁当を作ってくれた。そのことに感謝する主人公であった。

入選    水科花奈子

〇福島で復興支える父の背を照れ臭いけどちゃんと見てるよ

(講評)福島の復興を後押しするために働く父親への思いを詠んだ作者。作者の父親への思いやりのにじむ、静かなリズムをもつ作品である。

入選    山﨑友貴

〇左手に隠した携帯端末がすべて知ってる失くした恋も

(講評)作者の携帯電話の端末には今でも恋の履歴が残っている。人間は失恋することで成長していくことでしょう。

以上、選評    土永典明

2012年12月6日木曜日

平成24年12月

入選   石津愛子

〇動かない手足に老いは愚痴言わず私の体気遣う優しさ

(講評)「袖振り合うも多生の縁」。この利用者の行動は、母親が子どもに注ぐ無償の愛である。

入選   渡辺真優

 〇利用者にネイルやメイクしてみたら魔法がかかりモデル現れ

(講評)実習のレクリエーションで、ネイルアートや化粧を利用者にしてみた。利用者はモデルになりきっていた。

入選   米田萌

 〇大荷物小さな体で運ぶ吾子妊婦の母を気遣うヒーロー

(講評)妊婦の母が子どもの行動を駆り立てる。結句の「気遣うヒーロー」がよく響いている。



以上、選評    土永典明  

2012年11月1日木曜日

平成24年11月

入選    藤巻美音

〇ついついとデートの前のお化粧はチークつけすぎおてもやん顔

(講評)普段はほとんどノーメイクの作者だが、デートの前には気合を入れて化粧に熱中する。何ともユーモアが漂う一首である。

入選    棚橋千優

〇照れ笑う18歳の女の子重い障害感じさせない

(講評)重症心身障害児施設に実習に行った作者が、同じ年頃の少女の担当についた。その時に、障がいとはどういうことなのかを考えた。糸賀一雄の『この子らを世の光に』のフレーズが思い出される一首である。

入選    吉田真由美

〇車椅子押しなれなくて蛇行するそれでも礼を言われた初日

(講評)初めての介護実習で、一生懸命に利用者が乗った車椅子を押した作者。さぞ利用者は心もとなかったであろう。しかし、学生に礼を言った。作者はこの体験を一生忘れないことだろう。

入選    石川順一

 〇雑草に混じるコスモス半円に折れ曲がりつつ先端の揺れ

(講評)作者の穏やかな観察眼が素晴らしい。


以上、選評   土永典明
  


2012年10月15日月曜日

平成24年10月

入選    杉山翔子

〇「また来なせ」老いの言葉が嬉しくて泣きそうになる帰宅電車

(講評)入学して初めての実習が、1年の6月の第1週にあった介護基礎実習Ⅰaである。5日間という非常に短い実習なわけだが、その最後の日に利用者から、「また来なせ」と言われた一言が嬉しくて、帰宅の電車の中で余韻に浸っている作者である。

入選    木戸思鶴

〇一日目自己紹介もドキドキで不安と楽しさ8対2なり

(講評)実習初日に利用者の前で挨拶をした作者。さあ、これから実習が始まると思うと、不安と期待が入り混じった気持ちになった作者である。

入選    榎本優香

〇帰り道ドラムの音が高校の切ない気持ち思い出させる

(講評)片思いであった高校の彼氏は、ドラムを演奏していた。短大を帰る道すがら、軽音楽部のドラムスの音が聞こえ、切ない気持ちになった作者である。


◎介護の喜びコンテストで、杉山翔子さんの上記の短歌が入選しました。「おめでとうございます!」 なお、11月4日(日)、「介護の日」県民のつどいの式典において、表彰されます。

以上、選評   土永典明

2012年9月3日月曜日

平成24年 9月

入選   斎藤夏実

〇「ありがとう」素直に言えないでも感謝姉が作る私の弁当

(講評)姉が作る愛情のいっぱい詰まった弁当から、様々な物語が紡ぎ出される。

入選   本間滉大

〇誕生日私二十歳に犬一歳年は違えどもう同い年

(講評)犬の一歳は人間で例えると二十歳になるそうで、そう思うと作者と犬は同い年ということになる。作者の人柄がそこはかとなく匂ってくる。

入選   羽田美咲

〇父の日にビールグラスをプレゼントにやけた口を隠せてないよ

(講評)作者が父の日にプレゼントをあげたら、嬉しくない振りをした父親。しかし、口元は緩んでいた。

入選   本間美知子

〇家帰る車椅子から立ち上がり杖振りかざすも家族は来ない

(講評)扉を挟んでの家族のドラマが窺え、後半のまとめ方もうまい。


以上、選評    土永典明