入選 堀川恵理奈
〇君の頬触れるこの手が離れてくさよなら言わずぬくもり残す
(講評)上句では、「君」との別れに際して、哀しみの涙を抑え隠すしおらしさが出ている。五句の「ぬくもり残す」に作者の心情がこもっている。
入選 佐藤裕衣
〇帰り道空を見上げてふと思うあなたもこの空見てますように
(講評)作者のピュアな気持ちが素直に出ていて、すっと胸に入ってくる。さまざまな思いを託して、空を見つめる作者のやさしな視線を感じる。
佳作 小林綾子
〇実習は同じ言葉の繰り返し緊張している自分に気づく
(講評)上句はまさに多くの実習生の実感であろう。それを受ける下句の作者の真剣な態度が伝わってくる。2句を具体的な言葉でもってくるほうがわかりやすいと考える。
佳作 布施由里香
〇優しい手いつも挨拶した後に握ってくれる肌のぬくもり
(講評)ふと触れられた利用者(高齢者)の手のぬくもり。作者が利用者との信頼関係の構築を感じた瞬間であった。バーバル(言語)コミュニケーションは、伝えたい内容と言葉にずれが生じ、正確性に欠けることがある。作者が体験したノンバーバル(非言語)コミュニケーションの場合、情報の精度が高く言葉には表れにくい隠れたメッセージが伝わりやすい。
以上、選評 土永典明
2 件のコメント:
小林綾子さんの短歌であるが、介護福祉士資格修得のために始めて臨んだ実習の感想であろうか、実習において緊張している自分を素直に表現している姿勢に好感が持てる。
堀川さん、布施さんのうたは、介護福祉士を目指して、人の役立つ人間になりたいと思いながら、利用者に支えられた自分が滲みでてくる唄ですね。世のため、人のためには大切なことですが、私たちは常に多くの人たちの支えがあることはお互い忘れないようにしたいですね。
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